妊娠に向けて女性がやっておくべき医療ケア4選!!!

監修:医師 高山貴行

内科。東京都立墨東病院や東京医科歯科大学医学部附属病院を経て、2021年より羽田空港検査クリニックの主任医師として、空港内の検疫業務を始め、渡航医療、感染症対策等に携わる。


初めに

結婚前の女性にとって、妊娠や出産に向けた健康管理は非常に重要です。安全に妊娠出産を乗り越え、元気な赤ちゃんを産むために事前に受けておくべき医療ケアは意外と多くあります。中にはケアを行うことで不妊や早産につながるリスクを回避することもできます。今回は特に重要なケアについて解説していきます。

結婚や妊娠前に治しておきたいもの

歯周病の管理と費用 

妊娠中は胃酸の逆流が起こりやすく、唾液の減少、間食の増加、吐き気のために歯磨きが不十分になることで通常よりも虫歯になるリスクが高まります。妊娠中の歯周病は「早産・低出生体重児出産」を起こす可能性があり、そのリスクは歯周病でない人に比べ約7倍に上ります。さらに産後には唾液を介して赤ちゃんに菌が移る可能性もあります。歯が生え始めてから3歳ぐらいまでが最も移りやすいとされているのでその間は口腔環境を清潔にするなどの注意が特に必要になります。

費用について、保険適用の3割負担の場合ですと親知らずの抜歯には¥1,500~¥5,000円、虫歯治療には¥3,000~¥10,000円程度が相場となっています。虫歯は重症になればなるほど治療にかかる費用も時間も増えていくので、3ヶ月に一回は歯科医への定期受診が推奨されています。

性病検査と費用

性器感染症は不妊のリスクとなることがあります。例えばクラミジアに感染すると、卵管が閉塞して不妊になったり、子宮以外の場所で妊娠してしまい死産になる「異所性妊娠」を引き起こしたりします。


また、梅毒やヘルペスウイルスなど、母親が感染すると胎内の赤ちゃんにまで感染する可能性がある病気も存在します。

こういった病気の総称を「TORCH症候群」といいます。近年では先天性梅毒の出生数が過去最高になったという記事(先天梅毒」の子ども 過去最多に 10月4日時点で32人)もNHKから出されているので、定期的な検査で性病の感染にいち早く気づき、治療することをお勧めします。また感染後の治療以外にもDoxy Pep等の予防策もあるので心配な方は性感染症を扱っているクリニックに相談に行ってもいいかもしれません。

費用について、性病の種類は多く、自分で調べても正直よくわからない場合が多いと思います。各クリニックではそのような患者様のためにセットプランを用意していることが多いです。一例として新宿クイッククリニック様の検査価格を載せておきます。パートナーがいる場合はご一緒に受けることでピンポン感染(片方が治療して治ってももう片方から再度感染してしまうこと)を防ぐごとができます。 

風疹と費用

風疹は先ほども出てきた「TORCH症候群」の1つです。妊娠初期に感染すると、白内障や難聴、心臓の形態異常といった症状を引き起こす「先天性風疹症候群」が赤ちゃんに影響を及ぼす可能性が高いです。風疹のワクチンは定期接種ワクチンに指定されているため、多くの人が接種済みではあります。

しかし、1962年~1990年生まれの方々は、ワクチン接種年代移行のために定期接種を受けられていない可能性があります。

また、接種後の年月で抗体が弱まっている人もいます。加えて、風疹ワクチンはウイルスの一部をそのまま投与する生ワクチンであるため、接種後3ヵ月は避妊をする必要があり、妊娠後には接種できないことにも注意が必要です。妊娠を考えている女性は、事前に風疹の抗体検査をしたり、場合によってはワクチンを打つ必要があることを覚えておきましょう。

風疹のワクチンは三種混混合ワクチンであるMMRが使われることが多いです。この3種とは、麻疹、風疹、ムンプスのことで小さい頃に定期接種を完了していれば追加の接種で10~20年程度の免疫がつきます。金額についてはトラベルクリニック東京で¥12,650円となっておりましたので是非一つの参考にしてみてください。

PMDDと費用

PMS(月経前症候群)のうち、イライラや気分の落ち込みなどの精神症状が特に強く出るものをPMDD(月経前不快気分障害)と呼びます。
PMDDを放置したまま妊娠・出産によるストレスやホルモンバランスの変動を受けると、「マタニティ・ブルー」や「産褥期うつ」など、ライフイベントの度にうつ病を発症してしまう可能性があります。

PMSやPMDDを完全になくすことは難しいですが、適切な治療を受けることで症状は軽快します。女性にとって、生理や妊娠・出産に伴う精神的、肉体的な負担は切っても切り離せないものです。パートナーの理解や献身を得ることも重要です。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類される抗うつ薬がもっとも一般的に処方されます。SSRIは即効性があり、約8割の方で投与開始から1〜3日以内に、症状の軽減が認められます。また、加味逍遥散などの漢方も効果が認められています。費用は通院一回当たり約¥5,000〜¥8,000円程度です。

まとめ

​​歯周病の管理

  • リスク: 早産や低出生体重。
  • 対策: 定期的な歯科診察と適切な治療、良好な口腔衛生の維持。
  • 費用: 保険適用時、虫歯治療に¥3,000~¥10,000円、親知らずの抜歯に¥1,500~¥5,000円程度。

 性病検査

  • リスク: 不妊や異所性妊娠。
  • 対策: 定期的な検査と早期治療、予防策の検討。
  • 費用: クリニックによるセットプランが利用可能、価格は検査内容によって異なる。

 風疹ワクチン

  • リスク: 胎児の先天性疾患。
  • 対策: 抗体検査と必要に応じたワクチン接種。
  • 費用: 12,650円(トラベルクリニック東京での参考価格)。

PMDD(月経前不快気分障害)の管理

  • リスク: 妊娠・出産に伴ううつ病の発症。
  • 対策: 適切な治療とパートナーのサポート。
  • 費用: 通院一回当たり¥5,000〜¥8,000円程度。

上記チェックしてみてください!