おりものが緑色に!?トリコモナスってどういう病気?

監修:医師 高山貴行

内科。東京都立墨東病院や東京医科歯科大学医学部附属病院を経て、2021年より羽田空港検査クリニックの主任医師として、空港内の検疫業務を始め、渡航医療、感染症対策等に携わる。


トリコモナスはトリコモナス原虫という肉眼でギリギリ見える微生物がヒトの性器のなかに入り込み、寄生し炎症を引き起こす性感染症の一つです。トリコモナスに感染する場所は男女によって異なっています。女性では膣内や膀胱、尿道などに感染し、男性では前立腺や尿道に感染します。尿道にトリコモナス原虫が付着した場合は、尿によって流されて感染には至らないこともありますが、膣内や前立腺に侵入してしまった場合には、感染してしまう可能性が高いことが知られています。

どうやって感染するの?

トリコモナスは粘膜との接触によって感染する性感染症なので主な感染経路は性交ですが、下着やタオルや便座、そして出産時に母から感染する可能性も存在しており、性行為経験のない方でも感染リスクは存在しています。

どんな症状がでるの?

感染部位から想像できるように女性の場合は膣炎や膀胱炎、男性の場合は尿道炎を引き起こし、基本的に感染してから10日ほどの潜伏期を経てこれらの症状が出現します。具体的な症状として女性では悪臭を伴うおりものがでたり、膣やその周辺において痒み下腹部に痛みが生じたりします。また、子宮内膜症や不妊症のリスクが高まります。男性の場合は尿道の痒みや不快感が引き起こされます。他にもトリコモナスによってHIVへの感染リスクの増加、不妊症、流産や早産を招くこともあります。

予防と治療について

感染を予防するためには、コンドームの適切な装着、トリコモナスが増殖しやすい生理中の性交避け不衛生な生活用品の使用を避けることが重要です。トリコモナスは自然治癒しない病気ですが、感染しても内服もしくは膣錠で治療可能です。

トリコモナス感染後の症状には個人差があり、感染者の中には軽度や無症状の方もいます。そのため定期的な検査による感染の確認が重要になってきます。トリコモナスは主要な性病の一つであり、クリニックに行かなくとも、郵送での検査も受け付けているのでお近くにクリニックがない方は是非郵送での検査をお勧めします。