21世紀の国民病C型肝炎

監修:医師 高山貴行

内科。東京都立墨東病院や東京医科歯科大学医学部附属病院を経て、2021年より羽田空港検査クリニックの主任医師として、空港内の検疫業務を始め、渡航医療、感染症対策等に携わる。


21世紀の国民病C型肝炎

C型肝炎ってそもそも何?

C型肝炎という病気を聞いたことはありますか?

B型肝炎とは異なり、C型肝炎にはワクチンがないために、聞いたことがない方も多いように思います。

C型肝炎は日本の慢性肝炎のうちの約70%を占めており、無症状の人を含めると感染者は150~200万人もいると推測されています。

また全世界では1億3000万人から1億5000万人が慢性C型肝炎となっています。

さらに毎年70万人がC型肝炎による肝疾患で死亡していることもあり、「21世紀の国民病」とさえ言われています。

C型肝炎はどうやって感染するの?

日本ではC型肝炎ウイルスの感染者は40歳以上が多数を占めています。

そして70代が最も多いと言われています。

感染者のうちの20〜30%は輸血を受けたことがある人であり、それ以外の人たちはどこでもらったのか不明なケースが多いです。

C型肝炎は血液感染が多く、特に上述のような輸血に際した感染が以前は多かったのですが、現在では輸血の際に血中にウイルスがいないか検査されるようになり、輸血による感染リスクはかなり低くなりました。

しかし、きちんと整備されていない環境下では、輸血やそのほかピアス穴開け刺青鍼治療などの皮膚を傷つける行為に際して感染リスクが存在するため、自分たちが注意していくことが必要です。

特に、友人同士でピアス穴を開けたりすることは控えた方が良いでしょう。

また、C型肝炎は性感染症としての側面も持ち、性行為によっても感染してしまいます。

C型肝炎に罹るとどうなるの?

C型肝炎は他の型と比べて急性肝炎時の症状が少ないという特徴がありますが、症状としては黄疸、食欲不振、嘔気嘔吐、全身倦怠感、発熱などが挙げられます。

また、C型肝炎の潜伏期間は、2週間から6カ月あります。

これは非常に怖いことであり、治療を行わずに放置されてしまう可能性が高いという危険性を孕んでいます。

通常の急性肝炎は肝臓自身の回復能力によって自然軽快することもありますが、急性肝炎のうちの1%は劇症化をしてしまい、最悪の場合には肝移植といった治療が必要になってしまうこともあるので注意が必要です。

加えて、C型肝炎は肝がんや肝硬変などに進展する最も大きな原因であることにも気を付けましょう。

実際に原発性肝がん(転移ではなく肝臓自身から生じるがん)の原因としてC型肝炎ウイルスをはじめとするウイルス感染が多くを占めています。

さらにC型肝炎はB型肝炎より慢性化しやすいので注意が必要です。

この恐ろしいC型肝炎の感染を防ぐためには不特定の人との性行為や、コンドームを使用しないでの性行為はしないようにし、不衛生な環境下で出血を伴うような行為は行わないようにしましょう!