最近、20代~50代の男性、20代女性の間で梅毒が流行っているのをご存知でしょうか?
梅毒の患者報告数はここ2年で倍以上になり、2022年には症例報告数が10,000件を超え、調査が始まって以来最多になりました。
上図から特に20代の女性や20〜50代の男性の間で流行していることがわかっています。
さらに2022年におこなった調査では梅毒と診断された症例において男性の4割が性風俗産業の利用歴があり、女性の4割が性風俗産業の従事歴があることもわかっています。
今回は、流行りの梅毒に罹らないためには?罹ったらどうなるのか?を調べました。
梅毒ってどんな病気なの?
梅毒とは梅毒トレポネーマ(学名:Treponema pallidum)という細菌の感染によって発症する感染症で、偽装の達人”The Great Imitator”と言われるほど、多種多様な病変を、皮膚、陰部、口、腎臓、脳・神経、骨などいろいろな臓器におこすことがあり、診断することが難しい病気です。
梅毒は主に性行為によって感染するため性病として位置付けられていますが、感染者の体液や血液が傷口や粘膜に接触することで感染することもあります。
梅毒はどんな症状なの?
梅毒は、感染して3週間ほどの潜伏期間を経てから症状が出始めます。
梅毒の症状は3つの段階に分類されます。
梅毒の病気の進行は第一期、第二期、第三期の3段階に分けることができます。
第一期梅毒(感染後3~6週間)
第一期梅毒は、感染後3~6週間の間に起こり、性器や皮膚に、痛みや痒みを伴わない硬いイボのようなできものができます。
梅毒は偽装の達人という異名を持つほど、初期症状が分かりにくく、見た目だけでは梅毒だと特定することが難しい場合が多いです。
そして、このイボは2~3週間すると、消えてしまいます。
第二期梅毒(第一期の症状改善後、4~10週間ほど経過)
第二期梅毒は、第一期梅毒の症状が改善して4~10週間ほど経過した後に起こります。
体内に侵入した梅毒トレポネーマが血液によって全身に運ばれ、全身の皮膚に赤い発疹ができてきます。
この発疹の赤色が楊梅(ヤマモモ)のように見えることから、梅毒という名前になったと言われています。
この発疹も、痛みや痒みを伴わないことが多く、治療をしなくても数週間から数ヶ月で症状が治まってしまいます。
しかし、発疹だけでなく発熱や倦怠感などの全身症状を伴うことも多く、髄膜炎などの重篤な合併症を伴うこともあるため、やはり注意が必要です。
ちなみに、第二期の症状が治まると、数年から数十年の間、無症状の期間が過ぎ、そのまま寿命を全うするケースも多くあります。
しかし、三割ほどの人々は、再び症状が現れ、第三期梅毒に突入します。
第三期梅毒
第三期梅毒は、梅毒トレポネーマがさらに全身に広がり、皮膚や肝臓、骨に腫瘍が形成されることや、最悪の場合では心臓や神経に異常をきたすようになり、死にいたるような症状を引き起こしてしまうケースもあります。
梅毒に罹ったら
梅毒は、医者の指示に従って抗生物質を服用すれば治療が可能です。
また、梅毒は完治後も再度感染する可能性があります。
そのため、定期的な性的健康検査を受けることによる早期発見が非常に重要になります。
梅毒は妊娠中の母親から胎盤を通じて胎児に感染が伝播することがあります。
胎児の梅毒感染には、早期流産や死産、生後の発達障害、聴覚障害、視覚障害等の神経学的障害などのリスクがあります。
これを防ぐためには、妊娠前に梅毒検査を受けることが重要です。
妊娠中にも検査を継続的に受け、感染が発見された場合は、適切な治療を受けることが必要となります。
検査
梅毒は適切な治療によって治癒する感染症であり、早期に治療を開始するために検査が必要です。
検査には大きく分けて病原菌である梅毒トレポネーマを直接顕微鏡で検出する方法と抗体検査の2種類が存在します。
少しでも心当たりがあれば、お近くのクリニックや保健所で検査しましょう!
予防や適切な行動
基本的には梅毒に罹患した患者との性交渉を避けることが重要です。
梅毒の病変が自身の皮膚や粘膜に直接接触することを防ぐため、コンドームの使用も有効です。
ただし、コンドームが覆わない部分から感染する場合もあります。
梅毒は、現代でも非常に深刻な健康問題であり、放置すると命にかかわることもあります。
しかし、適切な予防と早期発見、そして適切な治療を受けることで、梅毒にかかるリスクを減らし、自身とパートナー、ひいては自分の子供の健康を守ることができます。
性的健康について正しい知識を持ち、リスクを減らすための行動を心掛けましょう。