正しい結果を得るために知っておきたい!
性病検査を受けるべきタイミングとは?

監修:医師 高山貴行

内科。東京都立墨東病院や東京医科歯科大学医学部附属病院を経て、2021年より羽田空港検査クリニックの主任医師として、空港内の検疫業務を始め、渡航医療、感染症対策等に携わる。


性病検査を受けるべきタイミングとは?

性病検査って、いつ受けたら良いの?

「なんだか性器に変な症状が出てきた…」

「危険な性行為をしてしまった…」

こんな不安を抱えていらっしゃる方はいらっしゃいませんか?

性感染症に感染してしまったとしても、はっきりとした症状が出るとは限りません。

不安を解消するためには、性感染症検査を受けて、自身の状況をはっきりさせておくのが一番です。

「それなら、一刻も早く検査を受けてしまいたい!」

…と思うでしょうが、ちょっとお待ちを!

性感染症の種類によっては、今検査を受けても正しい検査結果が出てこないかもしれません。

本記事では、性感染症検査のタイミングについて、各感染症の特徴を踏まえて解説します。

主要な性感染症の種類と、検査タイミング一覧

性感染症には様々なものがありますが、ここでは6つの主要な感染症に絞り、「症状」「潜伏期間」「検出可能時期」を見ていきましょう。

感染症名称症状潜伏期間検出可能時期
淋菌《男性》
・尿道のかゆみ、熱っぽさ
・排尿時の痛み
・尿道から粘り気のある黄白色の膿(うみ)が出る
・陰茎全体が腫れる

《女性》
・緑黄色の濃いおりものが出る
・おりものの臭いが強くなる
・不正出血
・喉の痛みや腫れ
・尿の回数が増えて頻尿になる
2~9日
程度
感染機会から7日以上
経過すること
クラミジア《男性》
・尿道のかゆみ、熱っぽさ
・排尿時の痛み
・サラサラとした尿道分泌液が出る

《女性》
・軽いかゆみや痛み
・おりものの増量
・不正出血
・下腹部痛、性交時痛
1~3週間
程度
感染機会から7日以上
経過すること
カンジダ《女性》 
・陰部のかゆみと腫れ
・粘度の高い、酒粕状、ヨーグルト状、チーズ状の分泌物
・性交時の痛み
・排尿時の痛み
1日~1週間
程度
感染機会から7日以上
経過すること
トリコモナス《女性》
・陰部の痒み、刺激感、痛み
・強い悪臭のする、泡立つような黄緑色のおりもの
・痛みを伴う性交時痛
・排尿時の不快感
1~3週間感染機会から7日以上
経過すること
HIV《男女共通》
・慢性的な疲労感
・頻繁な発熱や頭痛
・慢性的な咳または呼吸困難
・継続的な下痢
・体重減少や夜間の発汗
2~4週間感染機会から約17日以上
経過すること
梅毒《男女共通》
・無痛の硬い潰瘍(シャンクール)
・発疹、特に手足
・発熱、喉の痛み、頭痛
・体重減少、筋肉痛
3~6週間感染機会から1か月以上
経過すること

検査可能時期の傾向

上掲の表をご覧いただくと分かりますが、性感染症の検出が可能な時期は、感染症の種類によって大きく開きがあります。

淋菌、クラミジア、カンジダ、トリコモナスの4種の性病は、最短で感染機会から1週間(7日)後に検出が可能です。

そのため、不安な行為があったとしても、まずは落ち着いて検査を受ける手段を調べてみましょう。

これらの感染症は、比較的潜伏期間が短いことも特徴です。

そのため、場合によっては、症状が先に出ることもあるかもしれません。

その場合、自身の症状から、どの感染症にかかってしまった可能性が高いのか調べることもできます。

その上で、7日間の時間をおいて検査を受けることで、治療すべき対象を明確にし、不安を解消することができるでしょう。

一方で、梅毒とHIVは、検出可能時期が遅めです。

感染機会から、HIVは2週間ほど(17日が目安)、梅毒は1ヶ月程度の時間を置かないと、正確な検査結果を得ることができません。そのため、不安で焦る気持ちはあるかもしれませんが、落ち着いて時間をおいてから検査を受けるようにしてください。

まとめ

性感染症の不安がある場合、検査を受けて自身の健康状況をはっきりさせることが大切です。

しかし、焦って検査を受けても正しい結果が得られないおそれがあります。

正しい結果を得て、自身とパートナーの健康を守るためにも、落ち着いて検出可能時期を確認した上で検査を受けましょう。