クラミジアってどんな病気?

監修:医師 高山貴行

内科。東京都立墨東病院や東京医科歯科大学医学部附属病院を経て、2021年より羽田空港検査クリニックの主任医師として、空港内の検疫業務を始め、渡航医療、感染症対策等に携わる。


クラミジアってどんな病気?

クラミジアとは?

日本で最も報告数が多い性感染症はクラミジア。

あなたはクラミジアについて、どのくらい知っていますか?

クラミジアは、クラミジア・トラコマチスという細菌によって引き起こされる性感染症で、その他の性感染症と同様に性行為等によって感染します。

国立感染症研究所の報告によると、クラミジアの感染報告は2015年から2020年の5年間で、男性は1.3倍、女性は1.1倍に増加しています。

近年、梅毒の増加が話題になっていますが、クラミジアも私たちにとって身近な性感染症です。

本記事では、クラミジアの症状、潜伏期間やリスクについて解説し、対処方法についてお伝えします。

クラミジアの症状と潜伏期間

クラミジアに感染すると、男性では尿道の感染症、女性では子宮頸部の感染症を引き起こすことがあります。

代表的な症状としては、下記のものが知られています。

女性

  • 軽いかゆみや痛み
  • おりものの増量
  • 不正出血
  • 下腹部痛、性交時痛

男性

  • 尿道のかゆみ
  • 排尿時の痛み(灼熱感)
  • 尿道から、透明または濁った分泌物(膿)が出る

 

症状が出るまでの潜伏期間は、一般的におよそ1~3週間とされています。

「症状が出ていないから大丈夫!」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、クラミジアは症状が出なかったり、気が付かなかったりすることでも知られています。

残念ながら、症状がなければ安心!…というわけではないのです。

クラミジアの無症状感染によるリスク

コロナウイルスのニュースで、「無症状感染」という言葉を耳にされた方も多いのではないでしょうか?コロナウイルスと同様に、クラミジアも無症状の状態であっても感染は進行し、知らない間にパートナーに感染させてしまうリスクがあるのです。

また、クラミジアを放置することでより深刻な合併症を引き起こしてしまうこともあります

合併症としては、例えば下記のような疾患が知られています。

女性のクラミジアによる合併症の例

合併症症状の例
卵管炎(卵巣と子宮をつなぐ管の感染症)下腹部の強い痛み
骨盤内炎症性疾患(骨盤や腹膜の感染症)下腹部に激しい痛み
フィッツ・ヒュー・カーティス症候群腹部中央から右上腹部にかけての激しい痛み、発熱、嘔吐

男性のクラミジアによる合併症の例

合併症症状の例
精巣上体炎(精巣の感染症)陰嚢の腫れと痛み
尿道の狭窄尿の通り道が狭くなり、尿が出づらくなる

また、これらの合併症は男女ともに不妊症の原因にもなり得ます。他にも、女性の場合は子宮外妊娠、慢性疼痛の原因になることもあります。

無症状であるために、かえって深刻な病気を引き起こしてしまうリスクがある感染症なのです。

クラミジアは喉にも感染する

実はクラミジアはのどにも感染することがあるのです(これを、咽頭クラミジアといいます)。

性交時に避妊具を使用していれば性病は無縁の存在と思われがちですが、それだけではオーラルセックスやキスによる咽頭クラミジアの感染は避けられません。

咽頭クラミジアに感染した際の代表的な症状は、下記の通りです。

  • のどの腫れ、痛み
  • 咳、痰
  • 発熱

風邪をひいた際の症状と大差ないため、これらの症状から自身がクラミジアかどうか判別するのは難しいでしょう。

さらに、性器クラミジアと同様に症状が出ないことも多いのです。

つまり、性器クラミジアも咽頭クラミジアも、仮に感染していたとしても自分で気が付くことができるとは限らないのです。

もし症状が出たとしても、それは感染してから1~3週間経過しているということであり、その間に自身のパートナーにクラミジアを感染させてしまっている可能性があります。

そのため自身及び周りの人間の健康を守るためにも、定期的に性病検査をすることをお勧めします。

性病検査による早期発見が大切!

ここまでクラミジアのリスクについてお伝えしてきましたが、クラミジアは抗生物質によって完治する病気です。

そのために大切なのは、自身が感染しているかどうかを、早い段階で明確にすることです。

早期に治療を開始すれば、パートナーへの感染を防ぐことができますし、合併症などのリスクを避けることもできます。

もしかして…と不安になることがあれば、早期に検査を受けることをおすすめします。

クラミジア検査は、女性の場合は膣分泌液、男性の場合は尿を検体として用いて行います。

また、咽頭クラミジアの検査ではうがい液、もしくは咽頭を綿棒で拭ったものが検体となります。

クラミジアは、一般的に感染機会から7日間以上経過することで、検出可能となります(検体の状態等によって左右される可能性はあります)

検出可能期間でさえあれば、症状が出るまで待つ必要はありません。そもそも、上述の通り無症状の可能性もあります。

不安を抱えたままパートナーとの関係を続けることで、大切な人を傷つけてしまうおそれもあります。

定期的な性病検査を行うことで、自身とパートナーの健康を守ることができます。

まとめ

クラミジアは無症状であることがあり、潜伏期間も長いため感染リスクが高いです。

感染リスクを低減し、自身と大切な人の健康を守るためには、早期発見が不可欠となります。

皆さんの健康を守るためにも、定期的な検査を受けることをおすすめします。

(2023年11月12日 更新)

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