ウィンドウピリオドって一体何?
ウィンドウピリオドという単語を聞いたことはあるでしょうか?
あまり聞き馴染みのない方も多いかもしれませんが、感染症の検査をするにあたっては必ず知っておいたほうが良い概念なので、これを機にぜひウィンドウピリオドについて学びましょう!
ウィンドウピリオドとは、特定の病原体が体内にいるのに、それを検出できず、検査結果が陰性となってしまう期間のことを言います。
簡単に言うと、「感染しているけど、それがわからない期間」ということです。
なぜこのような期間が存在するのでしょうか?
なぜウィンドウピリオドが存在するのか?
そもそも、感染症の検査とはどのようにして行なっているのでしょうか?
当然、検査にはさまざまな種類のものがあり、感染症ごとに検査方法は違うので一概には言えないのですが、そのほぼ全てが、病原体や病原体の一部、あるいはそれに対してヒトの体から産生された物質を検出することで体内の病原体の存在を認識しています。
しかし、当然といえば当然ですが、病原体は感染当初から大量に体に存在するわけではありません。
少量の病原体が入ってきて、体内で増殖した結果、体に悪さをしてくるわけです。
検査では微量の病原体等を検出し、陰性陽性の判定をすることができるのですが、逆に言えば、感染から日が浅くまだ基準より少ない量の病原体しか体内にいなければ陽性とは判定されません。
結果、病原体に感染しているけど検査結果は陰性となってしまうというわけです。
潜伏期間と同じじゃないの?
ウィンドウピリオドとよく似た概念として、潜伏期間というものがあります。
この二つはよく似ているのですが、少し違う概念です。
潜伏期間とは、病原体に感染してから初期症状が出るまでの期間のことをいいます。
ウィンドウピリオドが、陽性と判定されるまでの期間で、潜伏期間は症状が出るまでの期間です。
そのため、多くの場合ウィンドウピリオドより潜伏期間の方が長いです。
ウィンドウピリオドがなぜ恐ろしいのか?
このウィンドウピリオドには2つの恐ろしさがあります。
1つとしては、本人が安心して検査をしないまま過ごしてしまうことです。
例えば、HIVはNAT検査で2週間程度のウィンドウピリオドがあると言われているのですが、ウィンドウピリオドという概念を知らずに、原因となる性行為を行なった翌週に検査を受けて陰性という結果をもらって「自分は感染しなかった」と思いこみ安心して、検査をしないでいたがためにエイズを発症してしまうということも起こり得ます。
ウィンドウピリオドを理解して、しっかり充分な期間を空けてから検査を受けることでこういったことを防ぎましょう。
2つ目としては、ウィンドウピリオドの間でも感染力があるということです。
ウィンドウピリオド中に検査して、陰性だったから自分は感染していないと勘違いして性行為等をしてしまうと、相手方にうつしてしまう可能性が非常に高いです。
これが原因となってパートナーを危険にさらしてしまう、感染が拡大してしまう、といったことがあるのでしっかり注意しましょう。
また、ウィンドウピリオドは感染症の種類によって期間が違いますし、個人差もあります。
加えて、梅毒やB型肝炎のように性行為をしなくても感染する可能性のある性感染症も多く存在します。
そのため、心当たりのある行為をしてから検査を受けるまでの期間を空けるためにウィンドウピリオドという概念を知っておくことも大事ですが、それ以上に、定期検査を受けるようにし、検査結果が陰性でも100%安心ではないのだということをこの概念から肝に銘じておきましょう。